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コージェネレーション②|特定技能 ビルクリーニング

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表

コージェネレーション②|特定技能 ビルクリーニング

コージェネレーション設備のデメリット

多くのメリットがあるコージェネレーション設備でありますが、
建築設備用途として採用する場合、
発電機のイニシャルコスト、各種法規を満足するための調整、
排気を熱交換するための熱交換器設備の導入の課題をクリアしなければなりません。

発電機のイニシャルコストが高い

コージェネレーション設備は発電機の一種であり、
設置工事において大きな予算確保をしなければなりません。

ガス料金の低減のみを目的として、小型の発電設備を設けて、
ガス会社と有利な契約を結ぶのみという計画も考えられます。

ガス会社は、ジェネライトと呼ばれる小型のコージェネレーションシステムを開発し、
販売を行います。
5~35kw程度の小型発電機を設置し、排熱を貯湯タンクに供給し、
給湯器から給湯に利用出来るシステムになります。

製品によっては、ガス空調設備に連携し、熱を暖房として有効利用するシステムもあり、
導入によりガス料金の優遇を得られるため、
ガスを多く消費する事業者の採用実績が多くなります。

発電設備は10kwを超える場合、
電気主任技術者の専任や、自家発補給契約を結ぶことが不可欠でありますが、
10kwを超えない機種選定が可能なようにラインナップされているため、
小型機種の選定も一考です。

消防法など関連法規に準拠

発電機を設置する場合、消防法など関連法規に定められた基準を満足しなければなりません。

回転部分に容易に触れられないような安全対策が講じられていることや、
設置したことを所轄消防に届出し、定期点検を行う義務が発生します。

所轄消防では、一般的に火災予防条例において
「固定されている内燃機関による発電機」を設置する場合には
「電気設備設置届」と呼ばれる届出を行うよう設置者に求めています。

可搬用の小型発電機を除き、固定して使用する発電機設備は、
電気設備として消防への届出が義務付けられています。発電機の設置と義務

排気を熱交換する設備が必要

高温になる排熱は、そのまま利用出来ないため、
利用する対象に合わせた熱交換器設備が必要です。
一般的な熱交換の方法として、排熱で水を湯に昇温して利用する方法が用いられます。

発電機から排出される排ガスは、数百度もの高温です。
給水管を接触させて温水を作ります。
発電機から発生する数百度の排熱をそのまま利用するのは難しいので、
適した温度に変換するための「伝熱プレート」を内蔵した熱交換器を併用します。

この温水は極めて高温になりますが、給湯や空調で必要な温度に調整し、
80~90℃程度で供給します。

熱交換器がなければ、排熱の利用が出来ません。
段階的に熱を利用したい場合、多数の熱交換器が設置されることになり、
イニシャルコストの増大につながります。

 

コージェネレーションの電気設計

コージェネレーションを設計する場合、熱主電従と電主熱従という概念があります。
熱と電気のどちらを主たるエネルギーとして考えるかに設計の手法が変化します。

熱を主に考えるか、電気を主に考えるかに発電機の運転方式が変わり、
コージェネレーションシステムの制御機器も変わるので、
早期に運用方針をまとめて計画を進めることが重要です。

熱主電従の運用

熱主電従の運用方法は、熱の利用を主に考え、発電については制御を行わない方式です。

温水プールを持っているフィットネスクラブの場合、
熱と電気を比較すると、必要なエネルギーは熱です。

プールの温度を一定に保つため、
熱源機としてコージェネレーションシステムを稼働させることになり
「必要な時間に必要な熱を得る」ことが主目的となるため、
その稼働タイミングに電気が必要でなくても、
システム稼働により発電された電力が供給されます。

発電量は制御されていません。これを「熱主電従の運用」と呼びます。

電主熱従の運用

電主熱従の運用方法は、電気の利用を主に考え、熱の制御を行わない方式です。
商業施設では、昼間に空調負荷・厨房負荷などが集中し電力ピークが発生します。

ピークカットをするためのコージェネレーションシステムの稼働は
「必要な時間に電力を得る」ことが主目的となります。

発電したタイミングで熱が不要であっても、排熱が放出され続けられます。
これを「電主熱従の運用」と呼びます。

常に排熱を受け入れられるような、大規模な温浴施設があれば良いですが、
熱量に対する制御を行ったシステムではありません。

 

家庭規模のコージェネレーション

家庭規模でコージェネレーションシステムを考えた場合
「固体高分子形燃料電池」を使用することがほとんどです。

発電機だけでなく、燃料電池を用いたシステムであっても、
コージェネレーションシステムとして成立します。

燃料電池は、運転温度が80℃前後のため給湯に都合よく、
排熱を回収することで給湯負荷を大きく低減出来ます。

 

運転温度が比較的低温なため、機器のオンオフを繰り返す間欠運転にも良く追従出来ますから、
家庭用燃料電池としては非常に良い特性を持っていると言えます。

業務用の場合は、間欠運転を行うと温度が低下してしまい、
作動温度まで温度上昇する間、発電出来ません。
業務用セントラル給湯設備などが設置されており、
常時排熱が利用出来る環境となっていなければ、効率を高められません。

高い排熱を確保出来ますが、高温排熱を利用出来る設備が無ければ、
結局は排熱を無駄にしてしまうので、コージェネレーションとしては扱いづらいものです。

限られたエネルギー資源を最大限に活用しましょう。

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