「ふるふる」特許と「セルフレジ」特許2
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
「ふるふる」特許と「セルフレジ」特許2
この2つの判決は、ビジネスモデル特許とも判断されるため、
ビジネスモデル特許のサブフォルダ内にて取り扱っております。
―特定侵害訴訟代理民事訴訟と行政訴訟―
問題の所在
株式会社フューチャーアイ VS LINE株式会社の<ふるふる>事件は
特許権侵害訴訟に該当し、分類上は民事訴訟、
株式会社アスタリスク社 VS 株式会社ファーストリテイリングの<セルフレジ>事件は
審決取消訴訟に該当し、分類上は行政訴訟、
と説明しました。
今回は、各訴訟に弁理士がどのように関われるか、について説明します。
[特定訴訟代理権有]が効いてくるのは侵害訴訟
私は[特定訴訟代理権有]と署名欄に記載しております。
人によっては「特定侵害訴訟代理人付記」と書いている弁理士もいらっしゃいますが、同じ意味です。
これは何かといいますと、民事訴訟である侵害訴訟であっても、弁護士と共同すれば訴訟代理人になれますよ、という証明だと思っていただければと思います。
訴訟代理人って何?
訴訟代理人とは、特定の訴訟において、本人(原告、被告どちらでも)から訴訟代理権を付与された者です。
訴訟代理人は、本人に代わって訴訟追行をすることができます。
訴訟代理人は誰がなれるかと言いますと、弁護士代理の原則(民事訴訟法54条1項本文)により、原則、弁護士です。
弁護士であれば、民事訴訟、刑事訴訟、行政訴訟、どの訴訟でも訴訟代理人になれます。
では弁理士は、というと、<セルフレジ>で説明した審決取消訴訟では単独で訴訟代理人になれます。
ここでいう「単独で」というのは、弁護士がついていなくても、弁理士だけで訴訟追行ができる、という意味です。弁護士を伴わずに法廷に立てるわけです。
一方<ふるふる>で説明した侵害訴訟は民事訴訟に分類されますので、弁理士資格だけですと訴訟代理人にはなれず、補佐人にしかなれません。
つまり、弁護士である訴訟代理人の補佐ができるにすぎません。
これを一歩進めたのが、[特定訴訟代理権]です。
弁理士資格を有した上で、所定の研修と試験に合格をすると、
侵害訴訟において、弁護士と共同して(既述の「単独で」との違いはここにあります)、
訴訟代理人になれる能力を持っています、ということを意味しています。
補佐人よりもさらに積極的に侵害訴訟に関与できる、というところが売りです。
実際には、補佐人であろうが共同訴訟代理人であろうが、
書面作成、弁論準備手続等、各段階で弁護士さんと密に話し合って相手の行為が権利侵害になるかを議論しており、
補佐人と共同訴訟人とで訴訟の際に関わり方が違うかなというと、今のところ差を実感したことはないかも・・・。
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