審査請求をするか?否かの質問への答え:選択・決定・決断のための視点(時間・費用(コスト)・事業化の程度・競合・情熱)
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
審査請求をするか?否かの質問への答え
本ページまとめ
(弊所が伝えたいこと・お客様から頂戴したい情報)
欲しい情報① 審査請求するか否か? 伝えたい情報① これから本当の特許化の争いが始まる!頑張りましょう。頑張ります! |
弊所からの「審査請求お尋ねメール」が来たら
このページを読んでいただいている方は、
主に、弊所から出願から3年がたとうとしている状況になります。
(通常は、2年半ぐらいで、弊所からお伺いのメールをしています)
そのため、審査請求という手続きをするのか否かを弊所がお尋ねしていることになります。
もちろん、他の事務所からも同じようなお尋ねがあると思いますので、
その方にも同じように参考になるよう記載しております。
検討するための状況と視点
まず、審査請求しますかというお尋ねが来ているときの
状況をお伝えしようと思います
Q:何か悪い通知なのですか?
A:ご安心ください。全くそんなことはないです!
審査請求をするというのは、特許取得の際に絶対に通らなければならないものです。
そのため、このお尋ねは、
-
- 出願後すぐに審査請求を完了してしまっている時
(=既に、完了している手続きをしますかとお尋ねしないのは当然です)
- 既にこの権利いらないですと弊所にお伝えしてもらっている時
(=既に、いらないと言っていただいているなら、これも同じく聞かないです)
- 出願後すぐに審査請求を完了してしまっている時
以外は、必ず、聞く通知なので、全く普通で当たり前のお尋ねです。
驚くことはまったくござません。
Q:今どんな進行状況:私の権利はどうなっているの?
A:これから特許化するため、審査官との本当の戦いが始まるのです。
↓この特許取得までの流れは、出願の手続き中にお送りしたと思います。
特許取得(出願後、申請後)の流れ(フロー・フローチャート・期間)と費用
そのページに張り付けてある図が下記の図です。
この図におけるように、特許出願して特許権を取るまでの様々な手続きがある中で、
この審査請求は2つ目の「出願審査請求」手続きなのです。
ですから、まだまだ手続きは進みますが、
これからやっと本格的な特許庁との、権利取得のための手続(争い)が始まるという段階に過ぎません。
Q:なぜこんな手続きが必要なの?
A:日本の特殊な制度と、歴史の結果です。
ここで、特許が欲しいから、”高いお金”を出して弁理士に依頼して特許出願をしているのに、
なぜ、こんな手続きがあるのだ!
迂遠じゃないか!(怒り!)
とお考えになると思います。普通に考えるとその通りで、本当にもっともです。
その理由はいろいろあるのですが、
ともかく、日本はそのような制度になっています。
ということで納得ください。
制度の理由を書くことは、大得意なのですが、意味がないと思いますのであえて止めます。
(一言だけいうとすれば、急いで出したけどその製品作るのやめたなどの場合に対応できるようにです)
そのため、日本では出願したその時から、3年後の好きな時点で審査請求が可能です。
今回の弊所からのお尋ねは、この最後の期間が近づいていますとの、
通知です。
Q:審査請求しないとどうなるの?
A:権利がなくなってしまいます。出願が無駄になります
この審査請求が、最後の期間である出願から3年たってもなされない場合は、
その出願は取り下げたのと同じ扱いを受けます。
つまり、
せっかく、
弁理士に高いお金を払って出願をしたのに、
全く意味がなくなってしまう(出願しなかったのと同じ)
のです。
ですから、今回のお尋ねへの回答は大変に重要なのです。
私たちも、本当はそんなことを聞かずに、
出願した=特許権が欲しい
ということは明白なので、このようなお尋ねをせずに、
手続きを進めたいのです。
しかし、この出願審査請求は、特許取得のために特許庁に支払う実費としては、
最も高い手続きなのです。(実際の額は後述します。)
そのため、勝手に手続きを進めるわけにいかないのです。
必ず、少なからず費用か掛かることをご納得していただき、
ご指示をいただかないと対応できないのです。
Q:出願後すぐ聞くべきじゃないの?
A:3年待つのがお客様の利益だからです。
確かに、普通に考えると権利が欲しいから特許出願したのですから、
すぐに審査請求すべきにもおもいます。
しかしながら、大企業と異なり中小企業・個人事業主の場合には、
一般的に、すぐに審査請求することは、利益にならないと判断しております。
そのため、弊所では普通は3年が過ぎそうなこのタイミングで、
お伺いしております。
そのあたりは、
早ければいいものではない!:審査請求をすべきか否か、またすべき場合の時期の判断基準
を参照ください。
なお、すぐに審査請求をしたい意思がある場合には、
お客様の指示を、出願完了時のメールで確認しているはずです。
メールの内容は下記のような内容です。
○○ 様 平素より大変お世話になります。 この度、ご依頼いただいておりました案件につきまして、 ご不明な点等ございましたら何なりとお申し付けください。 手続き名:特許願 <今後の流れについて> 審査請求につきましては、通常期限を迎える3~2カ月前に弊所よりご連絡申し上げます。 |
Q:実際の費用はいくらなの?
A:通常 約18~23万円です。
審査請求の費用は、前述のように特許庁に支払う費用としては一般的にもっとも高いです。
おそらく、このお尋ねが来た方には、
審査請求料の見積もりも同時につけてあると思います。
特許請求の範囲に記載された請求項の数などにも依存しますが、
通常、20万円ぐらいはかかってしまいます。
ただし、後述するように、
中小企業、個人事業主については、
減免を受けられます。
その場合には、8~12万円ぐらいになると思います。
ただ、上の図にもあるように、特許になるまでには、
さらに審査における拒絶対応という大きな壁があります。
この費用も、20~30万ぐらいは見込まれます。
(ふつうは2回ぐらいの拒絶理由が来ます)
上記の図や、特許取得(出願後、申請後)の流れ(フロー・フローチャート・期間)と費用
を参照ください。
さらに、審判請求などもあり得ます。
つまり、この段階で追加投資(特許を進めるか)をするか否かの判断
ができるチャンスなのです。
(「しない」というのも正しい選択です!)
そのため、この段階であえて、お伺いということで聞いています。
ただし、一般には、特許の費用は出願時に一番一度にかかるので、
既に30~60%程度は出費済みで、あと少しで権利になるかもという状況にはあります。
Q:高すぎない?
A:減免の手続きします!
おっしゃる通り高いです。
そのため、弊所でも、中小企業、個人事業主の方が利用できる減免の手続きをサポートできます。
大企業に対しては、このような減免がないため、
主として大企業だけを対象としている特許事務所・商標事務所では、
この手続きができない、苦手としているとことも多いです。
しかし、弊所は、中小企業、個人事業主専門だからこそ、
経験豊富で、最初からこの減免を計算したうえで対応しております。
お尋ねで、
減免が受けられそうなのに弊所が減免での見積もりをしていない場合、
逆に、受けられそうもないのに減免で見積もっている場合
は、お教えください。
関係ページは、
Q:審査請求すべきなのか否かの判断のポイントは?
A:事業化の程度です。
この段階でこの審査請求すべきですかとの判断を迷う方がいると思います。
上記のように既に大変なご負担をした上に、
さらに、追加負担をすべきか悩んでいるのだと思います。
そのような場合、大変、私の心は痛みます。
そのような悩みを持たれるということは、事業化などが、
特許出願の時の予想や意気込みに反して、思ったように進んでいないということなのだと思います。
そのような時、私は、特許出願時にお断りした方が、
お客様のためになったのではないかと、いつも苦悩するのです。
私は、お客様に損をさせたくないのです。
ただ、ここで追加負担をすべきかの判断基準は、
事業化の程度
事業化が進んでいるのであれば、大抵の場合は、
特許は価値がありますので、
追加負担(審査請求)をした方がいいことが多いです。
事業化が進んでいなくても、その可能性がまだあるのであれば、同様です。
この機を逃してしまうと、特許出願が前述のようになくなってしまうからです。
競合の動き
競合他社が同じようなことをやってきている場合も、
同じく、審査請求をした方がいい場合が多いと思います。
次の負担までは1年稼げる(時間稼ぎ)
早期審査というものがありますが、
その特別な手続きをしない場合は、
通常、審査請求から実際の拒絶理由通知が来るまで1年かかっています。
つまり、この費用を使っても、次の投資までは、
早期審査を使わなければ1年の余裕を得られるのです。
その間の判断の期間を買うという考え方もできるのです。
この点に関して下記のページも参照ください。
審査請求からの期間を短縮:早期審査 スーパー早期審査
なお、
早ければいいものではない!:審査請求をすべきか否か、またすべき場合の時期の判断基準
を読んでいただき、なお早期の審査をご希望の場合は、
「お尋ね」に対する回答で「早期審査希望」をお伝えください!
(ただし、特別な手続きをするので費用が別途、掛かってしまいます。)
何よりも情熱
以上、いくつかの視点・チェックポイントを申し上げてきました。
しかし、最も重要なポイントは、
出願人たるお客様の
情熱が今でも出願時と同じようにたぎっていますか?
ということになってしまいます。
そうでないなら、ここで権利化をあきらめて、
追加負担をやめ、これ以上の出血を防ぐというのが、
最も経済原則に沿っています。
その場合、私は、結果的に必要のない特許を出願したことになり、
大変残念ですし、申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまいます。
なお、情熱がすべてということは、出願時にご案内していることの多い
下記のページにございます。
大企業に負けないぞ!中小企業・ベンチャー企業・個人発明家が特許出願する場合
Q:確実に特許にしてもらえるのですか?
A:大変申し訳ございません。審査官の判断なのです!でも全力!
そのような疑問・質問、当然だと思います。
しかし、大変申し訳ございません。
その判断は特許庁の審査官が行うため、確実に特許にできると申し上げることはできません。
この点については、特許になりますか?特許にする価値ありますか?との質問を参照ください。
しかし、私は断言できます。
元審査官として、
たくさんの審判を審査官・審判官と争ったものとして、
多くの侵害事件を扱ったものとして、
全力を尽くします!と
この点については、特に
その他に、
等も、参照ください。
関連ページ
©弁理士 植村総合事務所 所長 弁理士 植村貴昭