特許:PCT(国際特許出願)から外国移行の特徴・費用・期間について記載。パリ優先権などでダイレクト出願する場合も同様

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
有料職業紹介許可有

1.特許:PCT(国際特許出願)から外国移行の特徴・費用・期間について記載。パリ優先権などでダイレクト出願する場合も同様

 一般に、一か国100万円がだいたいの目安です。

PCTまとめ

 なお、そもそものPCT出願(国際特許出願)の費用等についてはこのページを参照ください

(1)日本(PCTルートの場合、移行~登録まで平均30~50万円)

日本

① 特徴

30カ月で移行。
外国語書面出願制度があるので、
英語の場合そのまま出願して後に翻訳を提出することが可能。

② 費用

移行時費用概算 約12万円程度+翻訳料(PCTが日本語の場合不要)
内訳:特許庁料金  14,000 JPY: 弊所手数料 100,000 JPY )

③ 審査請求

日本への移行時には、審査請求手続きが同時に必要となります。
審査請求費用概算 約15万円(請求項の数、出願人様の条件により
金額が大きく変動いたします)

④ その後の流れ(登録まで、移行後1.5~3年ぐらいが平均です)

通常の日本国内の特許の流れと同じです。
特許出願(申請)後、取得までの流れと費用を参照ください。

※ 日本からPCT出願した後、日本へ移行した場合は審査請求費用は安く済む。

⑤ トータル費用(移行~登録まで)

移行から登録までかかる費用の平均は30~60万円程度です。
(②の移行費込み)
ただし、何度も拒絶理由がある場合や、
審判・裁判にまで進んだ場合は増えてしまいます。

(1-1)

日本国民又は日本国内に住所若しくは居所(法人の場合、営業所)を有する外国人が最低1名必要

この条件を満たせば、外国人でも、日本国を受理官庁として、PCT出願可能です。

この特許庁のページのP5を参照

(2)米国

米国(PCTルートの場合)

① 特徴

30カ月で移行
マルチクレーム自体がコストがかかる(3個まで)ので、
例えば、全て、請求項1に従属させるなどする必要がある。
マルチのマルチは不可
審査請求は不要。

アメリカにおいては、審査官等をだますようなことは許されない。
知りうる文献を提出する必要があるし、
小規模事業主の申し立てをしてそれが虚偽などになると、
訴訟において、権利行使などができなくなる。

詳細は、フロードを確認のこと。

アメリカの物価は日本の2倍です。その為、最低でも日本の2倍はかかると考えてください。

また、アメリカの弁理士は、弁護士になったうえで、さらに上級資格として、存在します。
その為、当然ですが、弁理士費用は高いです。
また、そもそも、弁護士の地位も企業相手に仕事をできる弁護士はエリートなため、
日本よりも高い地位を有しているため、その分費用も高いです。 

② 費用

移行時費用概算 約30万円程度+翻訳料30万
      英語明細書があれば、不要、他の国の翻訳と共有可能)

(内訳:特許庁料金 785 USD: 現地事務所費用 800 USD : 
 弊所費用10万円(税別)翻訳費用 1日本語/0.2USD:弊所PPIIの場合)

特許庁費用は、小規模、マイクロで変わります。
上記は、小規模(従業員500人以下です。)
詳細は、
小規模団体(Small Entity)及びマイクロエンティティ(Micro Entity)について
|アメリカ情報

を確認ください。

また、独立請求項の数が多いと、費用が追加でかかります。
その為、通常は独立請求項は1つにします。

マルチで請求項の数が多くなると費用が高くなることから、
通常は、請求項1のみに全ての請求項を従属させるのが普通です。

③ その後の流れ(登録までは、移行後1.5~3年ぐらいが平均です)

審査が行われ、拒絶対応していいくことになります。
その後の対応、拒絶対応1回 30万円~

④ トータル費用(移行~登録まで)

移行から登録までかかる費用の平均は120~150万円程度です。(②の移行費込み)
ただし、何度も拒絶理由がある場合や、審判・裁判にまで進んだ場合は増えます。

特にアメリカは、審判や裁判費用がとても高いです。
米国特許庁の料金でさえも、日本の10倍(100万円超え)もあり得ます

当然、それに合わせて現地代理人の費用も高いです。

(3)EU 

ヨーロッパ(EPO)

① 特徴

31月で移行、移行時、庁手数料40万円、翻訳(英語)
マルチも、マルチのマルチも可能。
審査請求は、移行時に行う。下記費用は以降日面含まれる。

ヨーロッパにおける弁理士の地位は、アメリカ同様に高いです。
もちろん、ヨーロッパはアメリカよりも物価も高いです。
また、特許庁も優越的な公的機関としてとても高い地位を有しています。

その為、庁費用もとても高く、
弁理士費用も、2.5倍ぐらいは高いです。

EPOの場合、権利になる前の審査の段階でも出願中という権利を維持するための、
維持年金が掛かります。

② 費用

移行時費用概算 約70万円程度+翻訳料30万円
       (英語明細書があれば、不要、他の国の翻訳と共有可能)

(内訳:特許庁料金 3785 EURO: 現地事務所費用 1850 USD : 
 弊所費用10万円(税別)翻訳費用 1日本語/0.2USD:HOFMANの場合)

維持費用

ヨーロッパ特許庁では、出願を維持するために、
3年目以降 毎年10万円程度の維持費がかかります。

日本や米国では、ない制度なのでクライアントへの説明が難しい制度です。

③ その後の流れ(登録まで、移行後1.5~3年ぐらいが平均です)

審査が行われ、拒絶対応していいくことになります。
その後の対応、拒絶対応1回30~35万円

④ 登録査定後の各国登録

EPCに登録査定を貰ったのち、各国への登録する必要があります。
この際の手数料が、1か国40万円程度(翻訳料込)
ただし、イタリアは全文翻訳(イタリア語へ)が必要で、
60万円程度かかると思います。

⑤ トータル費用(移行~登録まで)

移行から登録までかかる費用の平均は最低でも150~200万円程度です。
(②の移行費込み)
ただし、何度も拒絶理由がある場合や、審判・裁判にまで進んだ場合は増えます。
国が増えると上記費用はさらに増えます。

EUを構成する26か国すべてに権利を取るという場合は、300万円を超えると思います。

(4)中国

① 特徴

マルチは可能、マルチのマルチは不可。
3年で審査請求が必要
移行期限は30カ月
追加の手数料を支払うことにより2ヶ月延長して、32ヶ月とすることができる。

② 費用

移行時費用概算 約40万円程度+翻訳料30万円
        中国語明細書があれば、不要、他の国の翻訳(台湾等と共有可能)

(内訳 特許庁料金 1030 CNY: 現地事務所費用 10000 CNY : 
 弊所費用10万円(税別)翻訳費用 100日本語/150 CNY)

審査請求費用概算 
特許庁料金  3030 CNY: 現地事務所費用 2300 CNY : 
弊所費用4万円(税別)

③ その後の流れ(登録まで、移行後1.5~3年ぐらいが平均です)

審査が行われ、拒絶対応していいくことになります。
その後の対応、拒絶対応1回15~20万円

④ トータル費用(移行~登録まで)

移行から登録までかかる費用の平均は80~120万円程度です。
(②の移行費込み)
ただし、何度も拒絶理由がある場合や、審判・裁判にまで進んだ場合は増えます。

(5)韓国

① 特徴

マルチは可能、マルチのマルチは不可。
3年で審査請求が必要

② 費用

移行時費用概算 約40万円程度+翻訳料30万円

(内訳 特許庁料金 28USD: 現地事務所費用 2600 USD : 
 弊所費用10万円(税別)翻訳費用 1頁あたり150 USD

審査請求費用概算 特許庁料金  76 USD: 現地事務所費用 200USD : 
弊所費用4万円(税別)

(6)台湾

① 特徴

PCT、パリ条約、(マドリッドプロトコル)未加入なので、
パリ条約に似た制度で出願するしかない。

日本語での出願可能(4か月以内に中国語の翻訳文の提出が必要)
出願日より3年以内に審査請求が必要。

② 費用

費用概算 50~60万程度(出願~登録まで)

(7)香港・マカオ

① 特徴

PCT未加入なので注意
中国の代理人、台湾の代理人が対応してくれることが普通。

人口が少ないため、本当に特許が必要なのか十分に検討する必要がある。

ただ、中国国内からの輸出、輸入のゲートウェイとして機能している場合があり、
香港国内での流通を止めるということなどが有効な場合がある。

② 費用

追って補充予定

(8)カナダ

① 特徴

カナダについては今後記載予定
カナダは、EPOと同じように、権利が登録なる前であっても、
審査継続中というだけで、維持年金(下の表参照)が掛かります

② 費用
  移行時費用概算 約50万円程度+翻訳料30万円

③ 現地の庁費用

  値上げ後(単位はカナダドル)
特許出願費用 408
審査請求費用(CIPOが国際調査機関である場合を除く) 816
早期審査請求 510
登録費用 306
維持年金 2~4年次:100/年次
5~9年次:204/年次
10~14年次:255/年次
15~19年次:459/年次

出願した年を1年目として数えます。
そのため、出願後12カ月後には、最初の2年目の維持年金が必要になります。

(9)オーストラリア

① 特徴
② 費用
  
移行時費用概算 約50万円程度+翻訳料30万円

(10)インド

① 特徴
② 費用
  
移行時費用概算 約40万円程度+翻訳料30万円 

(11)インドネシア

① 特徴

インドネシアは、イスラム教国なので、損害賠償はほぼ100%認められません。
それは、お金持ちがむしり取るということを意味し、イスラム教の教義に合わないからです。

他のイスラム教国も同様です。

他方、差止は認められます。
なぜなら、消費者にも影響があるからです。

② 費用
  移行時費用概算 約35万円程度+翻訳料20万円 

(12)ロシア

① 特徴

正直全く未知の国です。
私も、ロシアでの手続きをしたことはありません。
見積もりを取ったことだけはありますが、
お客様は、出願を断念されました。


② 費用
  移行時費用概算 約40万円程度+翻訳料30万円 

 

各国の国旗が釣り下がっている

PCT出願→日本移行・アメリカ移行、日本出願→PCT出願→アメリカ移行、の比較

Q:今どんな進行状況?A:これから各国へ移行して、各国での権利化の前です。Q:移行しないとどうなるの?A:その国について出願がなくなる。Q:移行国の選定は?A:販売国では必須、製造国で検討、Q:実際の費用はいくらなの?A:通常 1か国100万円が相場といわれています。国(アメリカ・EU)はもっと高いのが普通です。
各国の国旗が釣り下がっている

PCT(国際特許出願)で各国移行するか?否か、どの国に移行するべきかの質問への答え:選択・決定・決断のための視点(時間・費用(コスト)・事業化の程度・競合・情熱)

Q:今どんな進行状況?A:これから各国へ移行して、各国での権利化の前です。Q:移行しないとどうなるの?A:その国について出願がなくなる。Q:移行国の選定は?A:販売国では必須、製造国で検討、Q:実際の費用はいくらなの?A:通常 1か国100万円が相場といわれています。国(アメリカ・EU)はもっと高いのが普通です。

JP PCT(国際出願)から日本への移行の費用について

PCT(国際出願)から日本(JP)への移行の費用について:出願料(移行料)、翻訳料、審査請求料、審査請求料の減免手続きの費用を記載しております。
商標出願の流れと費用フロー

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