個人が「株式会社〇〇」、「○○株式会社」を出願した場合:合同会社、社団法人、財団法人でも同様
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
個人が「株式会社〇〇」、「○○株式会社」を出願した場合:合同会社、社団法人、財団法人でも同様
個人(個人事業主)ではなくても、会社が自己の名前以外の会社名を出した場合
(「ソニー株式会社」が「株式会社山々」の商標を出すような場合)
も同様です。
同様に、
「一般社団法人○○」
「公益社団法人○○」
「一般財団法人○○」
「公益社団法人○○」
「有限会社○○」
「合同会社○○」
など、法人格を有する会社名を出願した場合には、同じことになります。
拒絶理由通知(商標法第4条1項7号(公序良俗違反))
このような商標出願(商標申請)をすると、
商標法第4条1項7号(公序良俗違反)
の拒絶理由通知が来ます。
具体的な文言は下記のような内容です。
この商標登録出願に係る商標(以下「本願商標」といいます。)は、「株式会社○○」の文字を書してなるところ、これは法人の名称を表示したものと認められるものですから、その名称と異なる出願人が、本願商標を自己の商標として採択使用することは、商取引の秩序を乱すものであり、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあります |
つまり、株式会社と異なる主体が株式会社の商標を持つことは公序を害するということです。
過去の登録例を見ても、
株式会社以外が、「株式会社○○」を持っている例は、ほとんどありません。
何らかの手違いや、譲渡などがない限り、登録しないということになります。
株式会社が他の会社の商標を出願すること
同様に、株式会社が他の会社名の商標を持つことも、同じような事情から許されないと思われます。
ただ、100%完全子会社である場合などには、可能なのではないかと推測しております。
その場合は、上記のような拒絶理由通知を得た後に、
その旨の証拠を付けて提出すれば大丈夫ではないかと思っています。
ホールディングスなどが、子会社の商標(会社名を含む)を取ることは、
おかしくないと思われるからです。
ただ、過去にこの対応で取ったことはなく未確認です。
また、もし、そうでなくても、譲渡して、出願人名と商標を一致させて登録後、
譲渡するという後述の手段は使えます。
対応策
株式会社などは商標に入れない
株式会社、一般社団法人、公益社団法人、合同会社、財団法人部分まで商標申請するべきか?
にも記載したように、そもそも、
商標に株式会社などまで入れて出願すること自体がお勧めできません。
ソニー、アマゾン、楽天、などの正式名称(「株式会社○○」、「合同会社○○」)などは、
誰も気にしていないのです。
そのため、○○の部分だけで出願すべきなのです。
どうしても入れて出願したい場合
その場合は仕方ないので、譲渡という方法で対応してください。
譲渡して、出願人名と商標を一致させて登録後、
譲渡するという後述の手段は使えます。
また、これから会社を作るからまずは出願という場合も、
個人などで出願後、拒絶理由通知が来るまでには会社の設立は終わっていると思いますので、
譲渡で対応できます。
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©弁理士 植村総合事務所 所長 植村貴昭