|
植村 貴昭 この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有
|
商標法第4条第1項第11号事例「幸年期」
1 問題提起
先願で「輝く 幸年期」(サプリメント)「登録第5700333号商標」が存在する中、
「幸年期」(サプリメント)の出願について、登録された事例
2 審判の判断の重要部分(引用可能な部分)
(1) 辞書に書いていないから「特定の概念は生じない。
(2)「輝く 幸年期」でスペースが空いていても、
「カガヤクコウネンキ」という一連一体の称呼しうる。
(3) 語頭にある言葉は無視しないで、比較する。
3 審判の判断
1 本願商標
本願商標は、「幸年期」の文字を標準文字により表してなり、第5類、第30類及び第32類に属する願書に記載の商品を指定商品として、平成28年12月2日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同29年8月4日受付、同30年1月15日受付及び当審における同年11月12日受付の手続補正書によって、最終的に、第5類「サプリメント」と補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第5700333号商標(以下「引用商標」という。)は、「輝く 幸年期」の文字を標準文字により表してなり、第3類「化粧品」及び第5類「サプリメント」を指定商品として、平成26年3月31日に登録出願、同年9月5日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、「幸年期」の文字を標準文字により表してなるところ、当該文字は、一般の辞書類に載録されている語ではないことから、特定の意味合いを想起することのない語といえるものである。
そうすると、本願商標からは、「コウネンキ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、「輝く 幸年期」の文字を標準文字により表してなるところ、その構成中「輝く」の文字は、後に続く語を修飾する語であり、また、「幸年期」の文字は、本願商標と同様に特定の意味合いを想起することのない語といえるものであることから、これらを結合した引用商標は、全体として特定の意味合いを想起することのないものといえる。
また、引用商標から生じる「カガヤクコウネンキ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、引用商標の構成中の「幸年期」の文字が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとみるべき特段の事情も見いだせない。
そうすると、引用商標は、その構成全体をもって一体不可分のものというべきであるから、引用商標からは、「カガヤクコウネンキ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否
本願商標と引用商標との類否を検討すると、外観においては、本願商標と引用商標とは、語頭の「輝く」の文字の有無という明らかな差異を有するものであるから、両者は、容易に区別し得るものである。
また、称呼においては、本願商標と引用商標とは、語頭において、「カガヤク」の音の有無という明らかな差異を有するものであるから、両者は、互いに聴き誤るおそれのないものである。
さらに、本願商標と引用商標からは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者は、観念においては、比較することができない。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観において容易に区別し得るものであり、また、称呼において聴き誤るおそれのないものであるから、これらを総合的に考察すれば、両者は、商品の出所について混同を生ずるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
また、拒絶理由対応のまとめページは以下です。
商標の拒絶理由通知対応の仕方
植村総合事務所のHPトップはこちら
©行政書士 植村総合事務所 所長 弁理士 植村貴昭
専門家(元特許庁審査官・弁理士・行政書士)に相談!