難民ビザでは特段の事情がない限りいつか帰国させられることになります:難民から特定技能への変更申請も検討
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 |
注1:職業紹介は植村貴昭が行います (屋号:日本海外人材支援機構) 注2:特定技能の登録支援は 一社)日本海外人材支援機構が行います |
難民ビザでは特段の事情がない限りいつか帰国させられることになります:難民から特定技能への変更申請も検討
難民の申請は日本政府にとって、実は大変迷惑なのです。
条約や国際社会からの目があって、
すぐにも本当は強制退去にしてしまいたいところ、それができないに過ぎないのです。
入管の本音は、難民申請があった場合その決定が確定するまでは、
条約等の国際社会の目から、日本に置いておかざるを得ないという認識なのです。
※注 もちろん、本当の紛争地帯等の明らかに難民である方については
入管も別の目で見ていると思います。
しかも、近年、難民制度を悪用する外国人が大量にいたという事情も
外国の方が難民で申請した場合に大変不利に扱われる原因になっています。
ほぼ100%帰国させられる!
上記のような理由から、難民申請した方は、
特段の事情の無い限り、いつかは、ほぼ100%帰国させられることになります。
特段の事情とは
-
- 本当の難民である場合(それに近い場合)
- 日本人と結婚した場合
ぐらいです。(上記の例外と一致しています。)
つまり、それ以外は、ほとんど100%、難民の認定がされず、
退去命令(強制退去)・ビザの更新不許可・変更の不許可などの結果、
日本にいられなくなります。
いうなれば、難民申請は退去強制のベルトコンベヤーに乗るというイメージが近いです。
退去強制が現実化するには時間がかかったり、各種の手続きをすれば先延ばしすることはできあますが、
基本的には、前述の特段の事情がない限り、いつかは自分の番になり必ず退去強制されることになります。
難民申請は、単なる時間稼ぎでしかなく、
基本的に、上記例外以外は必ず最後には帰国させられるということです。
そのように、帰国せざるを得なくなった方との対応ページはこちらです。
News: 難民申請 不許可が増えている 在留カードに穴
経営者ビザ、留学に変えて残りたい
弊所には、最近複数の方から難民申請が認められず、
帰国命令が出たという方が、何とかならないか?
という方からご相談が来ております。
しかし、基本的に、他のビザへの変更は認められる可能性は低いです。
ただ、本当の難民である可能性があるような場合は、
日本政府は難民認定をしたくないため、変更を認めてくれる可能性が高いです。
むしろ、その場合は、日本政府としては他の在留資格の方がありがたいと思っているはずです。
では、他の方法は?
その時、今現在、唯一、変更が許可される可能性があると思われるのは、
特定技能への変更です。
もっとも、可能性があると思われるだけで、
必ず、そうなるとも言えません。
(一種の賭けですが、他の在留資格への変更を試みるよりは可能性があると思います)
最新情報(2024年12月)によると、
6か月以上の特定活動のビザをもらっており、かつ、就労可の状態であれば、
特定技能への変更は可能であると思われます。
また、他のビザへもその要件が満たされていれば、可能性があると思います。
その理由は?
まず、特定技能の在留資格は大卒等を要件としておらず、かつ、現場での労働(単純労働)を認めています。
つまり、現在、難民申請者の方が、最初に難民申請時に特定技能の制度があり、最初からそちらの申請をしていたら、
何の問題もなく特定技能として在留資格を出せた人ばかりであるという事情もあります。
また、日本政府としては、特定技能での在留者を増やしたいと思っております。
さらに、日本政府としては、難民認定をすることもしたくないし、
実は逆に不許可もしたくない(国際社会、弁護士会等からの批判から)と思っています。
また、退去命令をしたり強制送還も費用も掛かり面倒です。
以上から、普通に考えて、
難民から特定技能への変更は日本政府にとって大変ありがたい変更
だと、判断できるからです。
※注 ただし、これはあくまで私の個人的な判断で、公式に出ているものではないです。
家族はどうなるの?
難民申請中の方の多くが、家族がいて、
現在の難民申請では、家族が滞在できるが、
特定技能だと、家族の在留資格がなくなると思われるかもしれません。
その点については、100%ではないですが、
特定技能であっても、新たに呼び寄せることはできませんが、
既に、日本にいる家族については、そのまま在留が可能となる可能性があります。
Q:特定技能で家族滞在(家族の呼び寄せ)が可能なのか? A:呼び寄せはできませんが既にいる家族はそのままいられる可能性があります。
5年後はどうなるの?
5年後については、確定していない部分もありますが、
いくつか対応策があります。
特定技能2号になる
特定技能1号の場合、5年間までの更新しか認められていません(2021年11月現在)。
(建設、造船では2号がすでに認められています。)
そのため、5年が経ったらどうなるの?
という疑問があろうかと思います。
その点については、まず、2021年11月18日等の新聞報道によると、
全ての職種で、特定技能2号を認める方向で進んでいるということになります。
そのため、5年を過ぎても在留を続けられる可能性が比較的ある。
帰化(日本人になる)
帰化要件は、永住許可よりも要件が緩いため、
特定技能としてちゃんとした会社に所属して、
5年間働き、
日本人と同じような給与をもらい、
その後もその会社が雇ってくれそう、
さらに、特定技能になる前から数年間日本にいて、
家族(子供)もいたり、日本で教育を受けている
ということであれば、
認められる可能性も十分にあります。
定住者
日本に長くいると、定住者となれる可能性もあります。
この点は、永住者と同じような理屈です。
技術・人文知識・国際業務、留学
なかなか要件が厳しいですが、技術・人文知識・国際業務、留学となるという方法もあります。
もちろん、他に、日本人と結婚、永住者及び定住者と結婚でも可能です。
再度の難民
上記のいずれも不可能な時に最後の手段として、
再度、難民申請
という方法もあるのです。
不許可の前に特定技能への変更を
できれば、難民申請が不許可や、在留期間が3ヵ月、4ヵ月に変更される前に、
特定技能への変更をしてほしいです。
なぜなら、不許可等の決定の後だと、
この人は、なんでもいいから日本にいたいので、その方法を考えて
特定技能に飛びついたのだと思われてしまうからです。
また、他にも、入管としては一度、
日本にいさせないという不許可の決定などをした
(=難民ではないという一定の判断)のですから、
それを覆すには、それなりの理由が必要なのです。
単に、特定技能にしたら許可するというのはおかしいと
言われてしまう可能性があります。
そのため、そのような判断が出る前に、変更の手続きをしてほしいのです。
難民申請しつつ、特定技能にへの変更申請はおかしくないです。
もし、変更が認められない場合には、
そのまま、難民申請を続ければいいのです。
ただ問題点が
ただし、特定技能で企業等を紹介している登録支援機関(有料職業紹介)としては
特定技能への変更が不許可になった場合に、紹介した会社に対して大変申し訳ないことになります。
そのため、大抵の登録支援機関などでは、難民申請から特定技能へ変更するから、
職場を見つけてくださいと言われても、紹介できない場合が多いです。
まずは、今いる会社へ、特定技能で雇ってもらえませんか?
と聞いてほしいのです。
もし、ダメな場合は、
ビザが下りたら特定技能で雇ってくれるという会社を探して転職してほしい
のです。
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出入国在留管理庁の難民の平成30年(2018年)以降の運用について
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