出願時の請求項の数と請求項1の広さ(クレームの広さ)
植村 貴昭 この内容を書いた専門家 元審査官・弁理士 行政書士(取次資格有) 登録支援機関代表 有料職業紹介許可有 |
出願時の請求項の数と請求項1の広さ(クレームの広さ)
Q 出願時請求項1(クレーム1)の広さはどのぐらいが適切ですか?
Answer
請求項1は、とても広くていいと考えております。
具体的には、進歩性が無いのは当然で、
新規性さえもなくていいと考えております。
Q 出願時の請求項の数はどのぐらいが適切ですか?
Answer
出願時の請求項の数は、少なくて良いと考えております。
6個以内でいいと思います。
もっというと、請求項の数は1個でもいいのかなと思っております。
理由
審査官の経験、及び、 15年以上の弁理士の経験から申し上げると、
最初の審査を受ける際の請求項は広い権利だけでいいと思っております。
そして、審査官の探してきた文献を見て、 どこに限定するか決めればよいと考えております。
その方が、広い権利を取れる可能性が高いのです。
その理由は、審査官にとって、 調査が一番時間と労力がかかります。
審査官は、1度調査してしまうと、 それ以上調査したくないという心理が働きます。
以下場合分けをします。
1 最初は広いクレーム(極端な話請求項の数は1つでもよい。)
つまり、
最初の審査の時、広いクレーム = 調査が楽で、すぐに拒絶理由通知が打てる。
その後、拒絶理由通知を受けたとき、こちらで、 当初予定している一定の範囲に限定する。
そうすると、審査官としては、自分が仕事をして、
特許の範囲を限定させたという、形が出来上がります。
その時、今一度、調査をするというのは、
心理的に、限定させたからもういいんじゃないかという気持ちと、
今一度調査をするのは面倒という
気持ちが生まれます。
つまり、そのまま特許査定をしてしまう可能性があります。
結果、広い範囲が取れる可能性が、 過去の経験からこの方法がいいと思っております。
そして、このような場合、下記する設計的事項との審査官の認定を受ける前に、
以下にこの構成が技術者にとって簡単に思いつかないのかを前もって記載することができます。
そうすると、審査官は、その記載した理由を否定して、
技術者がどうして簡単に思いつくか書かなければならなくなります。
それも、審査官にとって負担ですし、理由を考えることは実は難しいのです。
以上のような理由で、最初は広く、審査官の反応(見つけてきた文献)に応じて、
クレームの文言を変更するということがいいと判断しております。
2 最初から限定的なクレーム(従属請求項も記載)
このような場合、審査官は、すべての請求項(従属請求項も全て)
に対して拒絶理由を打つ必要があります。
そうすると、すべての請求項について、 調査をすることになります。
そして、すべて文献を見つけ出してしまいます。
そうすると、 記載した限定的な請求項でも権利を取れなくなってしまいます。
万一、従属請求項の内容を見つけることができなくても、
その時は、 技術者が普通に行う設計的事項との認定をしてきてしまいます。
そのような場合、 すべての限定要素を従属請求項として載せてしまうと、
限定して逃げることができなくなってしまうのです。
また、設計的事項についても、 審査官にそのように先に言しまうと、
技術者が設計できない理由を説明しなければならなくなってしまい ます。
そして、通常、そのような理由はないのです。
以上のようなことから、請求項について、
最初から限定することは、 なにもいいことが無いと私は判断しております。
せっかく、時間をかけて、従属請求項を考えたにもかからずです。
従属請求項が多くなると、費用もかさみます。
そのため、私は、出願当初は、できるだけ広く、
場合によっては、新規でなくてもいいとさえ思っております。
発明の詳細な説明への記載は重要
他方、拒絶理由通知を受けた時のために、
従属請求項にするような内容は、発明の詳細な説明のところに、
各種の限定要素(従属請求項に入れても良い内容)をしっかりと、
入れておくとこは、大変に良いことだと思います。
入れておくとこは、大変に良いことだと思います。
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村総合事務所 所長弁理士 元審査官 植村貴昭