記述的商標(識別力のない商標)(=価値ある商標)についての説明:標準文字についての説明:ロゴと文字の違いも含めて

植村 貴昭
この内容を書いた専門家
元審査官・弁理士
行政書士(取次資格有)
登録支援機関代表
有料職業紹介許可有

記述的商標(識別力のない商標)(=価値ある商標)についての説明:標準文字についての説明:ロゴと文字の違いも含めて

 記述的商標に該当すると、商標法第3条第1項第3号(又は、商標法第3条第1項第6号)
 に該当するとして拒絶されてしまいます。

 なお、記述的商標とは、「descriptive brand mark」と英語で表記します。

1 この規定の趣旨

この規定の趣旨は、商標2:拒絶理由対応に記載しておりますが、
ざっくりいうと、だれでも使いたくなるような表記は、
誰かに独占させるべきものではないということです。

そのため、この規定をかいくぐって登録することは、
かなり難しいです。

他方、この規定に該当する

価値が高い商標(価値ある商標)

ということでもあります。

マークの検討の際の検討事項

上の図の様に、記述的商標(識別力が低い商標)であればあるほど価値が高いということになります。
そして、識別力が無いとなると、審査官に拒絶されることになります。

価値が高い商標を取得するには、経験と勘が重要であるということを説明した図です。

価値が高い商標の取得

 

ぎりぎりを狙う場合に、どこがギリギリなのかは、経験と勘が勝負になります。
ただ、審査官の主観が大きいため、前もって見極めることは難しいです。

2 ロゴと文字の価値の差

健康食品等で「健康」という文字(標準文字)は、
極めて記述的です。

そして、誰しも取得したい名前であります。

その為、ロゴに比べると極めて価値が高い(下記の例では2500倍と仮に規定)
ということになります。

しかしながら、取得可能性は、下の図のロゴであれば99%以上なのに対して、
文字商標は0%(良くても2%以下)ということになります。

「健康」の文字商標は「健康」のロゴ商標よりも価値が高い!

ロゴと文字の違いについては、以下のページも参照ください。

ロゴ商標と文字商標どちらにすべきですか?1
ロゴ商標と文字商標どちらにすべきですか?2

激安・格安8:ロゴがあるからロゴで出願していいのか?
激安・格安6:ロゴ商標と文字商標の違い・比較・どちらを選択すべきか?

3 曖昧である!

記述的な商標をみなされるかは、たぶんに審査官の主観に作用されます。
健康食品に文字商標の「健康」では、どの審査官になってもさすがに無理でしょうが、

もう少し、記述的ではない場合であれば、

審査官の恣意的な判断

=あいまいであり、審査を受けてみないと分からない

ということです。

4 チャレンジの価値はある!

取得が難しい商標=価値ある商標

であり、かつ

曖昧であるということは、
チャレンジしてみれば取れることもある。

そして、チャレンジの結果取れた場合は、

商標の価値は計り知れない!
(=やり方によっては市場支配の可能性も)

ということになります。

5 結論

以上より、記事的商標であっても、とても困難ですが、チャンスがある限り、
やってみませんか?
というのが、弊所のスタンスです。

この点について、一般に弁理士は、登録にならない責任を負いたくないため、
少しでも、登録の可能性が無い(低い)と、商標変更を要求する事務所が多いようです。

その方が、取得も簡単で、取れない場合のリスクがないからです。

特に、激安、格安の事務所はそのようにしていることが、多いいように感じます。

つまり、激安・格安等の安さを売りにする事務所では、
その値段相応の商標しかとってもらえない!

ということになってしまうのです。

6 成功報酬

正直申し上げますと、このような商標を出願することは、
弊所もリスクが高く、とても怖いです。

そこで、成功報酬的プランにしております。

この成功報酬プランは、

実費+わずかな弊所費用

とすることによって、
お客様の負担を少なくして、チャレンジしてもらおう!

としております。

7 登録可能性を上げる方法

登録性を上げる方法は以下ののような方法があります。ただ、可能性が上がるだけで、
必ず登録されるとは限りません。

登録例:記述的商標(識別力のない商標)にまとめているので、これも参考にしてください。
(現在、事例を集めているので、順次加えていくつもりです。)

(1)ロゴ化による取得等

以上の記述は、「標準文字」による取得での対応です。

より容易な、商標については、
ロゴ商標:記述的商標(識別力のない商標)を参照ください。
記述的商標であってもロゴにしたことによる登録例は多いため、対応案の一つです。

ただ、権利の範囲は、文字に比べると少なくなってしまいます。

(2)表記を変えてみる

漢字で表さないものを、当て字を使う。

普通は漢字を使うものを、あえてひらがなにする。
「健康向上」→「けんこうこうじょう」

カタカナ、英語で表記されているものを、ひらがな表記にしてみる。
「English school」→「いんぐりっしゅすくーる」

ほぼ100%漢字で表すものを、ひらがなにしてみる。同じようにローマ字表記にしてみる。
この方法で、登録された例として、「shiro」「SHIRO」3類化粧品(登録査定)
の例があります。

(3)「協会」「研究所」「機構」などを付ける

協会などの名前は、記述的であることが普通なので、
記述的であってもこれらを付けることで登録できることが多いです。

第16回 「○○協会」ビジネスについて。一般社団法人って公益っぽく感じませんか?

(4)前後に会社名や、すでに登録済みの商標を付ける

「TOYOTA 電気自動車」「森永 おいしい牛乳」などです

(5)「○○○宣言」などの形にする

「オールナチュラル宣言」などの登録例があります。

(6)「○○○活○○」などの形にする

「臭活サプリ」で、暗示するにとどまるとされて登録された例があります

(7)「○○A」「A××」の言葉を、「○○A××」などの形にする

このようなパターンではたくさん登録されています。

(8)短縮形どうしをくっつける。

例えば、 旨い + 辛い =ウマカラ

8 弊所の記述的商標の取得例

弊所で、取得された記述的商標の例は、
弊所取得例:記述的商標(識別力のない商標)をご参照ください。
(このページは、見つけたときに順次増やして記載していく予定です)

 

 一般的な、拒絶対応のページはこちらです。

商標の拒絶理由通知対応の仕方

関連ページ

特許庁の記述的商標に関するページ

 

弁理士 植村総合事務所弁理士植村貴昭

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